当法人のガバナンスコードへの取り組み状況について

-ひかり監査法人のサービス-

監査法人のガバナンス・コードに関する有識者検討会から「監査法人の組織的な運営に関する原則」(監査法人のガバナンス・コード)が公表(2017年3月)されています。本原則は、大手上場企業等の監査を担い、多くの構成員から成る大手監査法人における組織的な運営の姿を念頭に策定されていますが、それ以外の監査法人においても自発的に適用されることも妨げるものではなく、各監査法人が、本原則をいかに実践し、実効的な組織運営を実現するかについては、それぞれの特性等を踏まえた自律的な対応が求められています。
当監査法人は、小規模であることからガバナンス・コードで示される原則そのものは採用していませんが、監査の品質確保を最優先に考えて、組織風土や規模に応じた組織的な法人運営に取り組んでいることから、上記趣旨に鑑み、原則・指針への当監査法人としての取り組み状況を以下に示します。

監査法人が果たすべき役割

原則1
監査法人は、会計監査を通じて企業の財務情報の信頼性を確保し、資本市場の参加者等の保護を図り、もって国民経済の健全な発展に寄与する公益的な役割を有している。これを果たすため、監査法人は、法人の構成員による自由闊達な議論と相互啓発を促し、その能力を十分に発揮させ、会計監査の品質を組織として持続的に向上させるべきである。

指針1-1
監査法人は、その公益的な役割を認識し、会計監査の品質の持続的な向上に向け、法人の社員が業務管理体制の整備にその責務を果たすとともに、トップ自ら及び法人の構成員がそれぞれの役割を主体的に果たすよう、トップの姿勢を明らかにすべきである。

当監査法人は、監査・会計のプロフェッショナルとして、公認会計士の社会的な使命をより公正かつハイレベル(高品質)に実現したい、という誠実で強い志しをもったパートナーが手を組み、個々の能力を結集して最大化するために組織化された法人です。
その原点を大事にし、思いを実現するためには、各専門要員の自発的なスキル向上をベースとしながらも、個々人の能力を組織として統括していく業務管理体制を整備するとともに、監査の品質を最優先に考えて、これを持続的に向上させていくことに真摯に取り組んでいくことが必要、という理解を当監査法人の基本的なスタンスとしています。
この基本的なスタンスを法人代表者から社員及び各専門要員へ反復継続的にアナウンスすることにより、組織風土として醸成するよう取り組んでいます。

指針1-2
監査法人は、法人の構成員が共通に保持すべき価値観を示すとともに、それを実践するための考え方や行動の指針を明らかにすべきである。

当監査法人では、「監査業務の品質を最優先に考えて誠実に業務に取り組むこと」を共通の価値観として大事にしています。これは、法人代表者及び各社員が発信源となり、日常的な専門要員とのコミュニケーションにおいて示すとともに定期的な法人内研修においてアナウンスすることにより、個々人の意識に浸透させ、あらゆる局面での行動の指針となるよう意識付けしています。

指針1-3
監査法人は、法人の構成員の士気を高め、職業的懐疑心や職業的専門家としての能力を十分に保持・発揮させるよう、適切な動機付けを行うべきである。

専門要員の動機付けで大事なことは、監査業務の品質を最優先に考えて誠実に業務に取り組んでいる姿を互いに評価して認めることであると考えます。例えば、チーム内ディスカッションにおいて個々人の意見を尊重し、建設的な議論を重ねること、そして互いに切磋琢磨することが大切であり、人事評価においても、そのような積極的な言動を重視しています。

指針1-4
監査法人は、法人の構成員が、会計監査を巡る課題や知見、経験を共有し、積極的に議論を行う、開放的な組織文化・風土を醸成すべきである。

当監査法人では、京都事務所及び東京事務所の全社員が参加して毎月開催している定例社員会において、会計及び監査に関連する課題や問題点を共有し、各社員の知見や経験を基礎とした意見交換及び建設的な議論により、法人としての対応方法について方向性を確認しています。
そして、各社員において共有された内容は各監査チームに伝達され、各クライアントの実態に応じた適用がなされるよう、監査チーム内での積極的なディスカッションを行っています。

指針1-5
監査法人は、法人の業務における非監査業務(グループ内を含む。)の位置づけについての考え方を明らかにすべきである。

非監査業務自体を積極的に拡大するような方針ではありませんが、当監査法人に所属する社員及び専門要員には、様々な経験や知見を有する者が在籍していることから、クライアントのニーズがあれば、監査業務を軸としながらも、非監査業務についてもサービスを提供しています。

組織体制1

原則2
監査法人は、会計監査の品質の持続的な向上に向けた法人全体の組織的な運営を実現するため、実効的に経営(マネジメント)機能を発揮すべきである。

指針2-1
監査法人は、実効的な経営(マネジメント)機関を設け、組織的な運営が行われるようにすべきである。

当監査法人における実効的な経営機関は、社員会となります。定例社員会を毎月1回開催するとともに迅速な意思決定が求められる事案については臨時社員会により対応しています。社員会には、法人所属の全社員が出席し、重要事項の審議・協議とともに各社員からの業務報告等を行い、社員相互の牽制を図るとともに多面的なディスカッションにより、組織的な運営がなされるよう法人全体の方向性を定めています。

指針2-2
監査法人は、会計監査に対する社会の期待に応え、組織的な運営を確保するため、以下の事項を含め、重要な業務運営における経営機関の役割を明らかにすべきである。

  • – 監査品質に対する資本市場からの信頼に大きな影響を及ぼし得るような重要な事項について、監査法人としての適正な判断が確保されるための組織体制の整備及び当該体制を活用した主体的な関与
  • – 監査上のリスクを把握し、これに適切に対応するための、経済環境等のマクロ的な観点を含む分析や、被監査会社との間での率直かつ深度ある意見交換を行う環境の整備
  • – 法人の構成員の士気を高め、職業的専門家としての能力を保持・発揮させるための人材育成の環境や人事管理・評価等に係る体制の整備
  • – 監査に関する業務の効率化及び企業においてもIT 化が進展することを踏まえた深度ある監査を実現するためのITの有効活用の検討・整備

当監査法人における社員会の役割は、監査の品質確保を最優先に位置付けたうえで、法人の組織的な運営に関する重要な意思決定を行うことにあります。
特定のクライアントにおける資本市場等へ重要な影響を及ぼしうる事項については、社員会での審議・協議により最終的な法人としての判断を行っています。
監査実務をサポートするような経済環境等の分析の組織的な実施、人材育成の環境や人事管理・評価等に係る体制の整備、ITの有効活用については、社員会において対応すべき事項として検討中です。

指針2-3
監査法人は、経営機関の構成員が監査実務に精通しているかを勘案するだけではなく、経営機関として、法人の組織的な運営のための機能が十分に確保されるよう、経営機関の構成員を選任すべきである。

当監査法人では、特定社員を設けていないため、公認会計士のみで社員会を構成しています。しかしながら、社員の中には比較的規模の大きい会計事務所を経営している者も在籍しており、当該経験や経営手法をもとにした建設的な意見交換がなされていることから、監査法人の組織的な運営のため機能が確保されていると考えています。

組織体制2

原則3
監査法人は、監査法人の経営から独立した立場で経営機能の実効性を監督・評価し、それを通じて、経営の実効性の発揮を支援する機能を確保すべきである。

指針3-1
監査法人は、経営機関による経営機能の実効性を監督・評価し、それを通じて実効性の発揮を支援する機能を確保するため、監督・評価機関を設け、その役割を明らかにすべきである。

当監査法人は、小規模な組織体であるため、独立した立場で経営機能たる社員会の実効性を監督・評価する機関は設けていません。

指針3-2
監査法人は、組織的な運営を確保し、公益的な役割を果たす観点から、自らが認識する課題等に対応するため、監督・評価機関の構成員に、独立性を有する第三者を選任し、その知見を活用すべきである。

該当事項はありません。

指針3-3
監査法人は、監督・評価機関の構成員に選任された独立性を有する第三者について、例えば以下の業務を行うことが期待されることに留意しつつ、その役割を明らかにすべきである。

  • – 組織的な運営の実効性に関する評価への関与
  • – 経営機関の構成員の選退任、評価及び報酬の決定過程への関与
  • – 法人の人材育成、人事管理・評価及び報酬に係る方針の策定への関与
  • – 内部及び外部からの通報に関する方針や手続の整備状況や、伝えられた情報の検証及び活用状況の評価への関与
  • – 被監査会社、株主その他の資本市場の参加者等との意見交換への関与

該当事項はありません。

指針3-4
監査法人は、監督・評価機関がその機能を実効的に果たすことができるよう、監督・評価機関の構成員に対し、適時かつ適切に必要な情報が提供され、業務遂行に当たっての補佐が行われる環境を整備すべきである。

該当事項はありません。

業務運営

原則4
監査法人は、組織的な運営を実効的に行うための業務体制を整備すべきである。また、人材の育成・確保を強化し、法人内及び被監査会社等との間において会計監査の品質の向上に向けた意見交換や議論を積極的に行うべきである。

指針4-1
監査法人は、経営機関が監査の現場からの必要な情報等を適時に共有するとともに経営機関等の考え方を監査の現場まで浸透させる体制を整備し、業務運営に活用すべきである。また、法人内において会計監査の品質の向上に向けた意見交換や議論を積極的に行うべきである。

当監査法人は、社員会における各社員からの業務報告等により、監査現場の課題や問題点にかかる情報を共有するとともに、適宜、方針を協議・決定しており、当該方針は法人代表者による法人全体への周知あるいは各社員が監査チームに伝達することにより監査現場への浸透を図っています。また、会計監査の品質向上に向けた要改善事項については、品質管理担当責任者が主導して品質管理担当社員及びスタッフを含めたディスカッションにより改善策を検討しています。

指針4-2
監査法人は、法人の構成員の士気を高め、職業的専門家としての能力を保持・発揮させるために、法人における人材育成、人事管理・評価及び報酬に係る方針を策定し、運用すべきである。その際には、法人の構成員が職業的懐疑心を適正に発揮したかが十分に評価されるべきである。

当監査法人としては、法人の構成員の士気を高め、職業的専門家としての能力を保持・発揮させるにあたり、人材育成、人事管理・評価及び報酬に係る方針を策定・運用することが効果的かつ重要であるとの認識を持っていますので、現在策定のための検討を鋭意進めています。

指針4-3
監査法人は、併せて以下の点に留意すべきである。

  • – 法人のそれぞれの部署において、職業的懐疑心を適切に発揮できるよう、幅広い知見や経験につき、バランスのとれた法人の構成員の配置が行われること
  • – 法人の構成員に対し、例えば、非監査業務の経験や事業会社等への出向などを含め、会計監査に関連する幅広い知見や経験を獲得する機会が与えられること
  • – 法人の構成員の会計監査に関連する幅広い知見や経験を、適正に評価し、計画的に活用すること

人材育成、人事管理・評価及び報酬に係る方針を策定するにあたり、上記事項について考慮して検討を進めています。

指針4-4
監査法人は、被監査会社のCEO・CFO 等の経営陣幹部及び監査役等との間で監査上のリスク等について率直かつ深度ある意見交換を尽くすとともに、監査の現場における被監査会社との間での十分な意見交換や議論に留意すべきである。

当監査法人では、監査計画説明時や監査結果報告時、その他適宜ミーティングの機会を設けることにより、クライアントの経営幹部や監査役等とのコミュニケーションを図っており、その中で、監査上のリスク等について真摯に意見交換を尽くすことが監査リスクを低減し、また、クライアント自身のリスク管理に寄与するという意味で重要であるという認識を社員全員において共有しています。

指針4-5
監査法人は、内部及び外部からの通報に関する方針や手続を整備するとともにこれを公表し、伝えられた情報を適切に活用すべきである。その際、通報者が、不利益を被る危険を懸念することがないよう留意すべきである。

当監査法人では、当法人内外からもたらされる情報に適切に対処することを合理的に確保するために、不服と疑義の申立てに関する方針及び手続を品質管理規程として定めています。また、当該方針及び手続の一部として、専門要員が不当な取扱いを受けることなく不服と疑義の申立てを行うことができるように内部通報等の制度を定めています。

透明性の確保

原則5
監査法人は、本原則の適用状況などについて、資本市場の参加者等が適切に評価できるよう、十分な透明性を確保すべきである。また、組織的な運営の改善に向け、法人の取組みに対する内外の評価を活用すべきである。

指針5-1
監査法人は、被監査会社、株主、その他の資本市場の参加者等が評価できるよう、本原則の適用の状況や、会計監査の品質の向上に向けた取組みについて、一般に閲覧可能な文書、例えば「透明性報告書」といった形で、わかりやすく説明すべきである。

当監査法人では、本原則の適用状況や会計監査の品質の向上に向けた取組方針を日本公認会計士協会のホームページや当監査法人のホームページにおいて公開しています。

指針5-2
監査法人は、併せて以下の項目について説明すべきである。

  • – 会計監査の品質の持続的な向上に向けた、自ら及び法人の構成員がそれぞれの役割を主体的に果たすためのトップの姿勢
  • – 法人の構成員が共通に保持すべき価値観及びそれを実践するための考え方や行動の指針
  • – 法人の業務における非監査業務(グループ内を含む。)の位置づけについての考え方
  • – 経営機関の構成や役割
  • – 監督・評価機関の構成や役割。監督・評価機関の構成員に選任された独立性を有する第三者の選任理由、役割及び貢献
  • – 監督・評価機関を含め、監査法人が行った、監査品質の向上に向けた取組みの実効性の評価

上記項目も含めてホームページ等で公開しています。

指針5-3
監査法人は、会計監査の品質の向上に向けた取組みなどについて、被監査会社、株主、その他の資本市場の参加者等との積極的な意見交換に努めるべきである。その際、監督・評価機関の構成員に選任された独立性を有する第三者の知見を活用すべきである。

当監査法人は、クライアントとの間では、会計監査人の職務遂行説明書等を用いて、品質管理体制の内容や会計監査の品質の向上に向けた取り組みについて説明及び意見交換を実施しています。
株主やその他の資本市場の参加者等との意見交換については、今後の課題として認識していますが、当面は、日本公認会計士協会等から発信される情報を注視して必要に応じて取り込みを検討したいと考えます。

指針5-4
監査法人は、本原則の適用の状況や監査品質の向上に向けた取組みの実効性を定期的に評価すべきである。

当監査法人では、監査の品質管理の一環として実施している日常的監視や定期的検証により、監査品質の向上に向けた取組みの実効性を評価しています。また、本原則の適用状況については、社員会における定期的な評価を通じて実効性を確認しています。

指針5-5
監査法人は、資本市場の参加者等との意見交換から得た有益な情報や、本原則の適用の状況などの評価の結果を、組織的な運営の改善に向け活用すべきである。

当監査法人は、組織風土や人員構成に見合った形での組織的な運営を目指しており、そのためには、法人内での意見交換のみならず、日本公認会計士協会等から発信される外部の意見も取り入れた継続的な改善活動に誠実に取り組んでいく方針です。

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